ソフトバンク(9984)で痛感した──PERは会社の値札じゃなく「買い手の財布の種類」で決まる

投資

会社の話をしてるのに、株価は“別の理由”で動く(導入)

ソフトバンク(9984)の話になると、だいたい議論は二択に寄る。

  • 「中身(資産価値)で見ろ」
  • 「ストーリー(AIとか)で見ろ」

でも、チャートの前で立ち尽くす日って、そういう議論じゃ追いつかない。
上がらない日、上がる日、理由がふわっとしてる日。

そのたびに思う。
会社の話をしてるのに、株価は“別の理由”で動いてない?って。

それで、しぶしぶ目線をずらした。
会社じゃなくて、買い手の方へ。


今日の一文

PERは“会社の値札”じゃなく、“買い手の財布の種類”で変わる。

同じ会社でも、
フリマに置くか、百貨店に置くかで、値札が変わる。
あれと同じ。


自問①:今この株を買ってるのは誰?その次に来るのは誰?

まず、ここをサボると全部ズレる。

「買い手が増えた」って言うけど、誰が増えたの?
個人?信用?機関?海外?

SNSが盛り上がった時、増えやすいのはだいたい個人。
しかも“短期の個人”が多い。

でも、個人が買うだけで倍率(PER)が持続的に上がるかというと、
そうでもない。むしろ逆で、燃えたあとに冷える。

だから、問いを二段にする。

1) 今の買い手は誰?
2) 次の買い手は誰?(そして、来る条件は何?)


自問②:買い手が変わる条件(サイズ・流動性・説明可能性)を満たしてる?

買い手が上の階段に行くほど、要求が増える。

  • サイズ(大金を入れられる器か)
  • 流動性(出入りしやすいか)
  • 説明可能性(説明しても笑われないか)
  • 規律(ルールの中で買えるか)

ここを満たさないと、
「会社が良くなったのに評価が変わらない」みたいな現象が起きる。

逆に言えば、会社が急に良くならなくても、
買い手の階段が一段上がるだけで、値札が変わることがある。


買い手の階段:個人→(中小)→国内機関→海外→指数…で“値段の付け方”が変わる

ざっくりのイメージ。もちろん例外はあるけど、考える助けになる。

  • 個人(短期〜中期):熱、SNS、節目、材料の瞬間風速
  • 中小ファンド:仮説、テーマ、ストーリーと検証
  • 国内機関:説明責任、規模、再現性、ガバナンス
  • 海外投資家:比較(グローバルでの相対評価)、マクロ、流動性
  • 指数・パッシブ:ルール(組み入れ・除外)、需給の機械化

階段が上がるほど、
“面白さ”より再現性が重くなる。
“夢”より規律が重くなる。

ソフトバンクみたいに語りが揺れやすい銘柄ほど、
どの階段にいるかで、評価の付き方が変わりやすい。


階段が上がるほど「ストーリー」より「再現性」「サイズ」「規律」が重くなる

これ、体感として分かりやすい。

個人の世界だと、ストーリーは通貨になる。
「AIだ」「ARMだ」「日本の成長株だ」って言葉が走る。

でも階段が上がると、通貨が変わる。

  • そのストーリーは数字に届く?(道筋)
  • 予測は当たる?(再現性)
  • その金額、入れられる?(サイズ)
  • ルール上、買っても怒られない?(規律)

要するに、財布の種類が変わる

同じ9984でも、
「個人が熱く語る」フェーズと、
「機関が淡々と入る」フェーズでは、値段の付け方が違う。


例え話:フリマでは値切られるけど、百貨店の棚に並ぶと値札が強くなる

フリマだと、値札は交渉のスタート地点。
「もうちょい安くならん?」が普通に飛んでくる。

百貨店だと、値札は“信頼込み”。
「この値札が妥当なんだろうな」と買い手の前提が違う。

株も同じで、
買い手の前提が変わると、値札(PER)の強さが変わる。

だから、会社分析だけしてても足りない。
どの売り場に置かれてるかを見ないと、値札の意味を取り違える。


実務:株価を見る前に「次の買い手に説明できる一文」を作る

ここが今日の実装。

ニュースを見て興奮したら、いったん止めて、
こう書く。

「次の買い手(◯◯)にとって、この株は一言で何が良いの?」

例:

  • 「海外投資家に説明するなら?」
  • 「国内機関に説明するなら?」
  • 「指数(ルール)に耐えるなら?」

この“一文”が作れないなら、
階段は上がらない可能性が高い。
(上がるとしても、別の要因=地合い・金利・需給の機械化かもしれない。)


自分ルール(今日の結論)

毎回メモする。
「次の買い手は誰か?」
そして月1で答え合わせする。

  • 当たった:なぜ当たった?(条件を言語化)
  • 外れた:どこを見誤った?(自分の盲点を特定)

これを続けると、
「株を見てるつもりで、実は買い手の世界を見てる」って感覚が育つ。


締めの一行

株を見てるつもりで、実は“買い手の世界”を見てる。

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