フランスの食用カタツムリ農場から、ミシュラン星付きレストラン向けの在庫がごっそり盗まれて、被害額は約9万ユーロ(約1,600万円)──というニュースを読んだ。
正直、最初の感想はこうや。
「え、カタツムリってそんな高級なん?しかも盗まれるレベルで“価値のある在庫”なん?」
しかも、場所はシャンパンで有名なランス近郊の農場。フェンスを切って侵入して、保管してあった在庫をまるごと持って行ったらしい。
牛肉や金塊や高級時計じゃなくて、「カタツムリ」。
この組み合わせの妙に、まず笑ってしまった自分がいる。
1. 「高級」と「気持ち悪い」は同居できる
日本人目線で言うと、
カタツムリって「梅雨の道ばたのぬめっとしたやつ」であって、
高級フレンチのイメージとはなかなか結びつかない。
でもフランスだと、それがエスカルゴになって、
ガーリックバターと一緒にオーブンで焼かれると「おしゃれな前菜」に変身する。
同じ生き物が、
- 日本:子どもが触って喜ぶ or ナメクジの親戚
- フランス:ミシュラン星付きレストランに納品される高級食材
このギャップ、けっこう面白い。
「気持ち悪い」と「高級」は、
文化のフィルターひとつで平気で同居するんやなぁ、と改めて思った。

2. 盗まれたのは“カタツムリ”というより「物語」かもしれん
もうひとつ気になったのは、
「盗んだ側は、これどうやって現金化するつもりなん?」
ってところ。
だって、現地では「○○農場のエスカルゴ」としてブランドがついていて、
ミシュラン星付きレストランにも納品していた農場らしい。
ということは、
- 単なるたんぱく質の塊としての“食材”だけじゃなく、
- 「この農場が手間ひまかけて育てた」「星付きレストランが選んだ」という物語込みの価値
がついてたはず。
それをまるごと盗んだところで、
ブランド名を堂々と名乗るわけにもいかないだろうし、
闇ルートで「よく分からんカタツムリ」としてさばくのだとしたら、
たぶん市場価値はガクッと下がる。
そう考えると、このニュースで盗まれたのは
「カタツムリそのもの」より、
「そこに積み上がった物語」と「農場の信用」
の方なのかもしれないな、と思ってしまった。

3. 「食べる側」と「育てる側」の距離感
もう少しずらして見ると、
これは「食べる側の無邪気さ」と「育てる側の現実」の距離の話にも見える。
レストランでエスカルゴを頼むとき、ふつう客は
- お皿に乗った状態からスタートして、
- ガーリックの香りやワインとの相性を楽しんで、
- 「あ~おいしかった」で終わる。
その裏で、
- 農場はフェンスを張り、
- 飼育・管理をして、
- 在庫を守るためにセキュリティも気にしなきゃいけない。
今回の事件で、その「守る部分」が一気に吹き飛んだ形になっていて、
なんだか食の世界の裏側を見せられた気がした。
「高級レストランの一皿って、こういうリスクも背負いながら成り立ってるんやな」
と、ちょっとだけ現実に引き戻される感じ。

4. 「美味しい」の裏にある“泥臭さ”が、なんか好きだ
個人的には、こういうニュース、嫌いじゃない。
もちろん農場側からしたら大迷惑やし、
「笑い事ちゃうわ」と怒るのが正しい反応なんだろうけど、
それでもどこかで、
「人間って、こんなところまで盗みに来るくらい、食べ物に価値を見出してるんやな」
と妙に感心してしまう自分がいる。
高級レストランの白いテーブルクロスの下には、
- 泥だらけの畑や牧場、
- 夜中にフェンスを見回る人、
- 盗まれたあと、保険会社や警察とやり取りする現実
みたいなものが潜んでいる。
そのギャップの存在そのものが、
なんだか人間臭くて、嫌いじゃない。
5. 今日のところの暫定メモ
このニュースから、自分用にメモしておくとしたら:
- 「高級」と「気持ち悪い」は文化次第で普通に同居する。
カタツムリに限らず、投資商品でも、趣味でも、価値の感じ方は国や集団でガラッと変わる。 - ブランド価値って、「名前」だけじゃなくて「背景の物語」込みのもの。
それごと盗むのは簡単じゃないし、パクった時点で価値は崩れる。 - お皿の上の一品の裏には、“守る苦労”のレイヤーが何層もある。
レジ前でため息をつく側としても、ときどきそこに想像力を伸ばしてみるのは悪くない。 - ニュースは「事件」として消費してもいいけど、“世界の裏側の質感”を感じる素材にもなる。
今回はたまたまカタツムリやったけど、同じような構図はいくらでもあるはず。
今日はここまで。
フランスのどこかで、カタツムリのいない棚を見つめてため息ついてる農場主がいることを思うと、
こっちのレジ前のため息とも、どこかでつながってる気がする。
また変なニュースを見つけたら、こんな感じでノートにしてみる。

